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忘備録 #03 “真善美 sung by ダイチュウ”

4月以降、時間を音楽以外のことに使う日々が増え、忘備録が滞っていましたが、まあ自分の忘備なので良しとします。

「おもいの軸足」の3曲目。”真善美”ですが、言葉こそぼんやりと認識していたものの、意味的には、良きもの3つを並列にしてあるということなんだろうとこれまで考えていました。特に何を学ぼうと思ったわけでもないのですが、ふと何かで、「真善美」とは「真, 善, 美」ではなく「真+善=美」だというような趣旨のことが書いてあり、とても面白い、というか腑に落ちた気がしました。それで、このような曲に取り掛かったわけです。

曲と歌詞はほぼ同時進行で作っていきました。EとF#9のリフレインがまずあって(最終的にVo.ダイチュウの声に合わせ半音キーを落としましたが)、それを少しづつ崩していくような進め方だったと記憶しています。冒頭の歌詞は日本にモナリザがやってきた、昔のあの展覧会の行列のイメージです。それからポーンと視座を拡大し、無駄に?スケール感を表してみました。何かしら宗教的儀礼みたいなものを想像していました。例えば式年遷宮とか。でも千年に一度はさすがにないかな。

あとは、結構言葉遊びの感覚で、言い換えを重ねたりしつつ文字数を稼いでいったような具合ですが、割と本音を素直に書けたような気がしています。本音を簡潔に説明すべきなのかもしれませんが多分うまくいかないのでやめておきます。ということは本音ではないのかもしれませんね。
Vo.ダイチュウのハンサム+ちょびっとファニーな声と歌い回しがとてもよくマッチしていると、彼を褒めつつ自分も褒めています。
それから、意味がないことを否定的に捉えてしまったことが少し引っ掛かっていたのか、その後「ブレス」ではそれを少し修正するようなことも書いています。というか今気づきました。

歌詞をこれまでも記載していましたが、この曲はサビを繰り返すにつれコード進行が変わっていくのが面白いかなと思っていましたので、コードもくっつけてみます。スマートフォンなんかでは体裁が崩れてよくわからなくなるかもです。どうもすいません。

追記:この曲に出てくる足は「傑作たち」を見るために並んでいる人の「足」です。

E♭     F9
一生に一度しか
E♭        F9
観る機会がないという
A♭      E♭/B♭
時間の洗礼を受け
    Bdim7  B♭ E9
朽ちずに残った傑作たち

E♭     F9
千年に一度しか
E♭        F9
経験できないという
A♭      E♭/B♭
祝祭の温度と色合い
 A♭   Adim7 D
世代を飛び越えてく祈り

G   E♭  C   F
論理と倫理が美しさを形作る
B♭  C      F  F/A
片方じゃ成り立たない
B♭ E♭  C F
積み重ねろ諸々我等の営為
B♭   C    E♭
様子見してる暇はない

       F9
筋道を通したら
E♭      F9
道筋が見えてきた
A♭/E♭         E♭
この世のルールを掴まえて
   Bdim7 B♭
しかも楽しくありたいもんね

Cm7 F9 Bm7
B♭m7 E♭9 Bm7
Cm7 F9
B♭m7 Cm7 D♭M7
D♭m7 E♭m7 EM7
Fm7♭5 B♭
E♭ F9
E♭ F9

E♭/B♭       F9/A
それぞれの角度の違いを
E♭/B♭    F9/A
何様かが雑に正す
A♭           E♭/B♭
そういうスタンスの物言いがまだ
 Bdim7     B♭/D E9
幅を利かせる不思議なご時世

E♭         F9
困った時には助けあう
E♭         F9
困ってなければ笑いあう
A♭         E♭/B♭
そんな人たちが作り上げるのが
A♭
あらまほしきというよりあたりまえの
   Adim7      D
ヒューマン・ワールドそのものだろ?

G     E♭  C        F
ヒトのために自分のためがもれなく含まれている
B♭  C       F/C F
逆はもちろん成り立たない
B♭ E♭  C         F
理想に唾する現実盲従リアリストたちに用はない
B♭/F C/F   F/A F/C
実際本当に用がない
B♭/D E♭   C/E   F
真理と善意がそこかしこを美しく飾る
B♭/F   C/G    E♭/B♭
そうでなければ意味はない
D♭/E♭
そっかな?
B♭m7  C7/B♭  BM7/B♭
そうだろ!

忘備録 #02 “軸足 sung by じゆん”

意図せぬ嬉しい出会いがあり、ビデオまで制作した”軸足”ですが、前回書いたように、1曲目の”おもいの軸足”をさらに発展させた、というか思いつくまま弄り倒したような曲になりました。これをアルバムのリードトラック的なものとして位置付けたために、他の曲より多く聴いていただいたからか、何人かの方に転調が多くてどこに行くかわからない、というような感想をいただいたりしましたが、今考えると曲調が歌詞の内容に影響したかなあ、とも思いますし、歌詞が曲の流れを規定したところもあるかもしれません。他の大抵の曲はあらかた出来上がった構成に歌詞を当てはめたのですが、これはほぼ詞曲同時進行だったので、互いに影響しあってる(もしくは干渉しあってる)ところがあるかなと、今となっては感じられます。

Aメロはマイナーコードで皮肉っぽく、Bに移るとメジャーに流れて少し強気になり、サビ部分はサビらしく少し大きなスケール(もしくは大仰)な感じにできたかなと思います。

また、1コーラス目は軸足=バスケのピボットと言う身近な例、2コーラスで突然地軸などとスケールの大きな話を取り上げてみました。軸、軸、軸といえば。。?という考えでの思いつきなので、特段地球環境とか、そういう問題提起ではありません。今になって考えると、一歩引いた視点(一歩どころではないですね)に移っていく脈絡なくのなさ、思考の飛躍は、モチーフは決めているもののはっきりしたテーマ性があるのかないのか判然としないまま何度も推敲を重ねた結果なんだろうなと思っています。文才の無さを諦めの悪さでカバーしているということですね。

で、サビですが、まあまあサビっぽいメロディーと展開かなあと思いましたので、「ソウゾウ」を使って言葉遊びにしてみました。

2コーラス目からは、曲のテーマに少しでも近づければと努力してみましたが、シンプルに片付けたくないという気持ちと、考えすぎて逆に独りよがりになってしまう焦りと、お互いが相剋してなかなかストンと落ち着く感じがありませんでした。

最終的には「善良」というワードに頼って無理くりケリをつけたような気もしますが、まあ曲のテーマが善良さなどという、愛でも勝利でも永遠でもない小さな小さな価値基準は、大事にしたいと思い続けています。

追記:この曲に出てくる足は、「地盤深く基礎に入った」人たちの「足」です。

3歩以上歩くと相手ボールだったよね
部員じゃなくたってそれくらい知ってるよ
高級なコンパスを思わせる素早く華麗な動きです

わざと足踏んでニヤついてろよ
これは特別にあつらえた安全シューズ

見ろよ地を這う如きドリブルと
針の穴を通す音速パスの正確さ

自転軸はズレていくものだったよね
4万年スパンでも戻るのならまあいっか

それとも四季の移ろいで
悦に入ってる場合じゃないのかも

いつまでもあると思うなよ
地に足のついた暮らしとその地と足

地団駄踏めるだけまだマシだったねえなんて
そんな安いディストピア映画さすがに笑えない

想像してみよう
生きとし生ける全てのものが自ずから持つ
重力のラインはもれなく一つの点に集約される

与えられた振り付けで踊るしかないんだよね
隅っこで軸足は固定だけどそれなりに幸せかい
たまには誰も見てない場所で
気ままにキリキリ舞うのかい

偶然立ったピンスポットの下
急いで穴を掘り杭を打ち登記しなきゃ

軸足が地盤深く基礎に入ったそこの場所
支えてるのはどこの国籍
耐えているのはどんな性別
計算するのはどこの階級
呪いを吐くのはどんな性格
澱んでくのはいつの言説
諦めるのはどんな願望
捧げてるのは誰への哀悼?

騒々しくいこう
生きとし生ける全てのものが自ずから持つ
滑稽な外見を晒して歌ってみたり
喚いたり身震いしたり熱を持ったり
瞬いたり羽ばたいたり何度も交換したり
抱擁したりしていたい

想像してみよう
生きとし生ける全てのものの質量と熱量を
騒々しくいこう
偶然生きてる全てのものは騒げ 黙れ 騒げ
ソウゾウしてみよう
どこかで生きてる誰かが依って立てるものを
総体としての
物質が持つエネルギーが変わらないんだったら
価値は生まれてないんだとしても
それでもせめて善良ではいたい

忘備録 #01 “おもいの軸足(イントロダクション)”

まず、これまでの雑多なモチーフをまとめるにあたり、テーマを設定しようと思いました。歌詞を書くなどというチャレンジをしたことがほとんどなかったので、自分が何かを人に伝えようと思ったら、まず何を言おうと思うだろうか、と言う問いを最初に考えました。

そこで決めたのが、「誰にも軸足を踏まれたり蹴られたりしませんように」と言うフレーズです。そこからじゃあ人々にとっての「軸足」って何だろうと考え、軸足、さらに「足」というものが表象するものをテーマにしようと決めました。

そんな具合に「足」スタート地点に定めたところ、体のパーツシリーズでしばらく続けられるかも、などと気付き、とりあえず手持ちのネタを揉んでいけば3枚くらいアルバムが作れるかも、と思い描くようになりました。

「おもいの軸足」は、しみったれたマイナーコードの進行モチーフがあり、それに歌詞を乗っけていきました。ただ、まだ曲としての体裁をなしていない前半部分のみだったので、セカンドヴァース部分を展開させてみたいと思い、長調へ移ってみたことで、「そろそろ死ぬ」から「もうすぐ生む」に話が移り変わっていくことができました。

最後にそもそものテーマを配置して、最初くらいはご挨拶がわりに自分の下手くそな歌唱で頑張ってみようと決め、この曲は完成。と思っていたのですが、そこで一つ疑問が。

この曲では、「軸足」は各人が自らを規定する大切な価値や規範としての用語、つまりは「良いもの」のつもりで言葉を選びましたが、さて、これは他人にとっても同じく「良いもの」であるのでしょうか。弱者を罵ってないと自分のプライドを保てない人だっていくらでもいますもんね。その人の軸足だって軸足には違いないわけであって。

そんな問いが、2曲目の「軸足」に続くことになります。

追記:この曲に出てくる足は「もう何にも残ってない人」の「足」です。

死にそうな人
死にたい人
死んでも死にきれない人
もう死んでもいいほど幸せいっぱいな人々

もうすぐ産む人
産んでいいものかと悩む人
産みすぎてちょっとくたびれた人
そして産まれたての人

心を配って配り過ぎて
もうなんにも残ってない人
できればそんな彼女や彼が
誰にも軸足を踏まれたり蹴られたりしませんように

忘備録 #00 はじめに

これまで30年ほど作りためた曲、モチーフ、コード進行などまとまりのあるものないもの、さまざまな断片を形にしようと思い、たぬきのような名前を借りて自主制作を始めました。

その後、初めてのアルバムを完成させてから約5ヶ月、取り組み始めてからは数年経っているので、すでに何を考え、何を工夫し、何に躓いたのか忘れつつあることに気づきました。

そこで、主に自分のための忘備録として、また、こんなサイトの端っこまでご覧くださる方には幾らかの興味を持っていただけるのではないかという思いもあり、各曲について、自分なりに文章で整理していきたいと思い駄文を綴ることとします。

あくまで忘備録的なので、文章はまあ雑なものです。考えている方向と受け取られる方向が違ってしまうかもしれない、と言う懸念も幾らかあります。まあそれでも残してみようと思った、ということでどうぞご理解ください。自分で何か気づけば随時修正していくと思います。

あと、更新は不定期であります。